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“UECHUのひと” インタビュー⑧ 〜NPO法人ウィズ・ザ・スモール・中野智幸さん〜

2024 / インタビュー:宮原 唯衣

今回は、『NPO法人ウィズ・ザ・スモール』の代表であり、UECHUの施設を活用して、社会的な立場が弱い状況の人々に寄り添うための活動をされている中野智幸さんのお話しをご紹介します。中野さんはUECHUだけでなく、小川町内の様々な視点から活動の幅を広げています。

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質問者:まずは、『NPO法人ウィズ・ザ・スモール』を設立したきっかけを教えてください。

◎中野さん
 私は、難民の支援をしたいと思っていて、特に居住支援として、日本に住んで難民申請している人の支援を目的にしていました。空き家をお借りして、そこを難民の方の住まいにする取り組みを行いたいと感じていました。それは、団体を作って行おうと思っていたわけではなく、もともとは個人で活動しようと思っていたのです。所有者さんに話をして何度か「空き家を使って良いですよ」といった話にはなりました。

質問者:最初は個人で行われていたのですね!団体設立の決め手は何だったのでしょうか?

◎中野さん
 所有者さんからは許可をいただけましたが、地域の方々に活動を説明するとなると、理解されにくく難しかったのです。個人では信用を得ること自体が難しいですからね。それならば団体を作って活動しようという結論になりました。様々な人に相談したり話をしたりしていき、賛同してくれる人も集まってくれたので、NPO法人を立ち上げることができました。そして団体を設立したことで、活動の幅も広げることができて、今のNPOの形がありますね。

質問者:原点のお話になるのですが、中野さんはなぜ難民の支援をしようと考えていたのですか?

◎中野さん
 昔は難民支援が目的ではなかったのですが、ある講習を受けて考えが変化しました。
 消防署に勤めていた頃は、海外で働きたいという気持ちを持っていたのです。いろいろな場所や活動を見て、話を聞きに行きました。
 そこで、自分自身が海外へ行く考えから一旦外れて、国内の難民を支援する「難民支援協会」というNPOの、講習を受けたことがきっかけです。日本にも、海外から逃げてきた人はたくさんいることを知りました。逃げてきたほとんどの人が国に認められなくて、認められないけど帰れない。そんな状況の人は働くこともできないし、保険に入ることもできない、といった状態で暮らしているという話を初めて知ったのです。

◎中野さん
 それで、その講習を受けたすぐ後から、入国管理局に収容されている方との面接、といっても難民申請中の方の相談を聞くような活動のボランティアを始めました。そんな最中にコロナ禍になって、住んでいたところを追い出されてしまうなど、難民申請中の方の生活はさらに苦しくなってしまいました。難民申請中の方から実際に相談を受けたりもしました。そこで私に出来る最初の一歩としては家を探してあげることだなと、考えたことが原点ですね。

質問者:難民の方に実際に寄り添う中で、出来ることを考え出した居住支援なのですね。

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質問者:次に、「NPO法人ウィズ・ザ・スモール」の具体的な活動の内容についてお聞かせいただけますか?

◎中野さん
 NPO法人ウィズ・ザ・スモールは、3つの柱を設けています。「住まい」「食」「学び」の3つです。活動の目的は難民申請者の支援ですが、その中でこの3つの柱を軸にして、活動の幅を広げています。

 「住まい」の点では、空き家や使っていない家を活用し、居住支援を目指します。主にシェアハウスの形で使わせていただける家を探しています。

 「食」の点は、農家さんの規格外の野菜を活用し、低価格で販売するフードロス販売を、主に毎週1回UECHUで行っています。またフードドライブといって、一般の方から食材寄付をしていただき、小川町の子育て支援課さんを通じて、必要な方に配布する食材の一部として提供する活動をしています。

 あとは、「学び」とも重なりますが、UECHUでレンタルキッチンをお借りして、「多文化レストラン」をオープンしています。料理は外国ルーツの方々に作っていただいているので、現地の味を感じられます。外の料理を共有して食べることで多文化交流にもなりますし、レンタルキッチンで実際にお店を開いてみることで、経営の勉強にもなります。レンタルキッチンとは別に料理教室も開催していて、クルド料理やネパール料理などを参加者と一緒に作り、文化交流を楽しむ活動も行っています。

 食を通して文化交流することも目的ですが、レストランや教室を「やってみる」ことで、自身の働く場として発展していったら嬉しいことだとも考えています。その面では、「食」は「職」も兼ねていたりしますね。

 「学び」の点では、小川町の防災支援課さんと協力して外国人向けの日本語教室を実施しています。また日本人向けにも、やさしい日本語の講座を行っています。外国人だと英語のイメージが強いですが、英語を話せない外国人もたくさんいます。日本に住んでいるそういう方の共通言語は、「やさしい日本語」なのだそうです。普段私たちが話しているような会話は難しいから、もっと簡単な日本語に砕いた日本語の講座を、専門の先生をお呼びして、毎年開催しています。

 あとは年に2,3回、主に難民をテーマにした映画の上映会を行って、難民への理解を深める取り組みをしています。難民支援に関心がある学生の方々と一緒にイベントを作り上げています。

質問者:様々な取り組みをされていますね! 多くの方と交流して協力しながら支援活動をされているところが本当に凄いと思います。

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質問者:今後、何か取り組んでみたいことや、計画していることはありますか?

◎中野さん
 今後は、活動の軸である3つの柱と共通するような活動をされている事業者さんと協力をして、取り組みの内容を深めたり、活動の幅をさらに広げたりしていきたいです。あとは計画していることとして、キッチンカーの運営をやってみたいと思っています。多文化レストランのように料理は外国ルーツの方に作っていただき、曜日ごとでシェフを交代して、日々違った国の料理が味わえたらもっと海外文化が広まりそうだと考えています。

質問者:良いですね!開催が楽しみです!
    最後に、活動の中で最も大切にしていることを教えてください。

◎中野さん
 細かくは、活動の対象を難民と決めているわけではなく、社会的な立場が弱い状況におかれている人々と考えています。立場が弱い人々として「small」を団体名に入れ、その中で現在は外国ルーツの方を中心とした、難民の支援に視野を当てています。そんな難民を「助ける」という表現は個人的にはあまり好きではなく、「一緒にいる」立場でありたい。だから「with」を団体名に入れ、共に寄り添える活動を目指しています。このような活動にもし賛同してくれる方がいらっしゃったら、ぜひ一緒に協力して活動していきたいと思います。

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 中野さんはUECHUにて、毎週月曜日の「フードロス販売」と、月に約2回「多文化レストラン」を開催しています。その他、映画上映会などのイベント開催時にお越しになりますので、活動に少しでもご興味ある方は是非、中野さんに声をかけてみてはいかがでしょうか。

『NPO法人ウィズ・ザ・スモール』
代表名:中野智幸
電話番号:090-6109-6864
ホームページアドレス:https://withthesmall.jimdofree.com/

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