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“UECHUのひと”インタビュー④ 〜造形作家・フジイシモン〜

2024.1.16/インタビュー:大曽根悠太

今回は、UECHUで毎月定期的に大人と子どもの「部活動」を実施しているフジイシモンさんにインタビューしました。現在、毎月第1・3月曜日に『美術部〜木彫・仏像彫刻〜』、第2・4日曜日に『こどものアトリエ』、そして第1・3火曜日に『演劇部』を開講。今回は”レッスン”も兼ねて、その活動の一部に実際に関わらせてもらいました。シモンさん自身の過去の経験を活かした、魅力的な活動内容をご紹介します。

筆者:
シモンさんの生い立ちについて訊かせて下さい。

シモンさん:
ボクの生まれは東京、育ちは大宮、そして現在は小川町の隣の東松山市に住んでいます。見た目から外国人に間違えられることがよくあって、まちを歩いていると見知らぬ言葉で話かけられることもあります。生粋の日本人なんですけどね(笑)
姓は”藤井”。下の名前は、歴史の”史”に”門”で「シモン」。だけど本当の読み方は「ふみと」なんです。小学校の頃から先生や友達に「シモン」と呼ばれていて、家族以外からはこの呼び方が定着しました。ローマ字表記するときは、Fumito “Shimon”Fujiiと書いてます。

筆者:
海外の方からしたら”Shimon”はミドルネームみたいですね。その見た目や名前から、海外経験が長いと思っていました。今までどんな活動をしてきたのかも、訊かせて下さい。

シモンさん:
高校生のときに、雑誌モデルや芸能の仕事などをしていました。その流れで映画学校の俳優課に進んで演技の勉強。その後20代中頃まで舞台の役者活動をしていました。その後、劇団で公演をやりながら楽屋での隙間時間などを縫って美大を受験。付け焼き刃な勉強ながら、どうにか多摩美術大学に受かり、演劇学科で4年間学びました。大学では舞台セットを作ったり、照明、音響、美術、演出、脚本などを総合的に学びました。また学校に行きながらワインバーで働いたり、デザイン会社でアルバイトのチーフをやったりと、とにかく色んなことを経験しました。卒業後は2年ほど、役者として舞台に立ち、その後結婚して埼玉に移住。親が吉見町在住ということもあり、隣の東松山に引っ越したんです。ここでの生活はかれこれ25年。人生で最も長く生活している場所ですね。

筆者:
学生の時からずっと濃い経験をしていますね。「演劇」から「木彫」に活動をシフトしていった経緯は何ですか?

シモンさん:
美術品の企画、輸入、製造行う会社で働いていた時期がありました。美術品といっても、実際に取り扱っていたのは”仏像”で、様々な彫像のデザインを企画して、中国の工場で製作したものを輸入して販売していたんです。現地の工場で職人さんが彫ったものは、表情がキツかったりと繊細な表現が反映されず、その度に修正の指示を出していたんですが、それも一苦労。手直しの細かいニュアンスを説明するよりも、直して見せた方が早い…ということになり、粘土で作った仏像を送って具体的にイメージしてもらったり、船便で割れた仏像の補修も自分でしていたんです。演劇をしていた時期に小道具などを作っていたこともあり、モノづくりは得意だったんです。仏像を単に輸入して売るだけでなく、実際に彫っていたのは社内でも自分くらいでした。退職後は、徐々に木彫り、中でも仏像彫刻をテーマにカルチャーの分野に活動の裾野が広がっていきました。

筆者:
色々と説明ありがとうございます。こうして聴くと、今までの様々な経験が、今のUECHUでの部活動にしっかりつながっていることがよく分かりました!部活動についても、どんなことをしているか改めて訊かせて下さい。

シモンさん:
現在、大人向けと子ども向けに、定期的に部活動をしています。中でも、がんばって働き続けてカルチャーに触れる機会がなかったシニア層に向けた活動を増やしていきたいと思っています。昨年10月に旧東小川小学校で開催された東小川自治会主催の秋祭りに参加して、体育館内で大人のフラダンスや茶道、舞踊など様々なカルチャー活動が披露されていたのを観ました。こんなにも東小川の人たちは活動的なのか…、そんな印象を持ちましたね。
だからUECHUで「大人の部活動はじめます」と告知すれば、参加したい人は多いのでは…と考えたんです。そして自分に何ができるかを考えた結果『木彫・仏像彫刻』にしました。活動開始後、すぐに地元の方2人が参加してくれました。今後はお友達も誘ってくれたら嬉しいですね。仏像の木彫りは、両手を使うし、立体物を扱うし、刃物を使うし…で、塗り絵や陶芸、ウォーキングなんかよりも格段に脳が活性化されるんです。

『こどものアトリエ』クラスではまず子ども描きたい絵を描いてもらい、その後に粘土で描きたいモノの立体を作ってもらっています(柔らかい粘土がおすすめです)。最後にそれをまた絵に変換させると、抜群に絵と立体造形の技術が上達するんです。絵を描くときはより立体感覚をつかんでもらえるように、正面、横、真上の3パターンをまず描いてもらいます。

筆者:
それは目からウロコですね!平面と立体での表現にはちゃんとつながりがあるんですね。ボクも絵を描くことが多いので、実際にやってみたいですね。

シモンさん:
ちょうど粘土があるのでやってみますか?その気になれば数分で造れちゃいますよ。

筆者:
ええ!?本当ですか?やってみたいです。お願いします。こどもの顔を造ってみたいです。

シモンさん:
やってみましょう、特別ワークショップ(笑)  粘土造形は時間をかけずに直感的に早く、そして大まかに作ってみる。顔のバランス感覚をつかむことが大事です。

シモンさん:
描きたいものがあったら粘土で遊ぶと、思った通りのものが描けるようになりますよ。

筆者:
これは世紀の大発見ですね!

木彫り、造形、絵画など、アートの領域で様々な経験とスキルを活かし、それを分かりやすく説明してくれたシモンさん。『演劇部』の活動では、オリジナルの早口言葉を用いた発声練習に挑戦させてもらった。早口言葉も単に発音するのではなく、そこに感情を込めたりするとより楽しくなると言う。

シモンさん:
以前に女性アナウンサーにレッスンしたことがありましたが、見違えるほど発声がよくなり、仕事の量も増えたんですよ。例えば言葉に感情を入れて発声するだけでも格段に奥深くなる。”喜びながら怒る”とか、”悲しいのに笑う“とか…。アナウンサーの方は、このレッスンで食レポがとても上手くなったんです。「本当においしそうに食べますね」と言われるようになったそうです。「滑舌よくしっかり発音すること」か、「おいしいと思った感情の動きに素直になること」か…大事なのはどっちですか?どっちを伝えた方がお店の方が喜びますか?自分をよく見せるリポートは多いけど、自分のためではなく相手のためを思って感想を言える方は少ないと思います。

筆者:
なるほど、とても当たり前のことのようだけど、いざ意識してしまうと素直に感情を伝えることは難しいものなんですね。


木彫や演劇の他にも、ワインバーでの飲食経験なども高じて創作カレーも作るという。豚骨と鶏ガラ、野菜がベースの「牛すじ豚骨カレー」。部活動が軌道に乗ったら、いずれUECHUカフェでも出店する予定とのこと。ますますの活動が楽しみだ。


【UECHUの部活動(第一弾〜第三弾)】

■第一弾『美術部〜木彫・仏像彫刻〜』
毎月第1・3月曜日 10:00〜12:00(講師)/9:00〜18:00(部員自由活動)
部費:1,500円/回 / 990円/回(会場費こども無料)

■第二弾『こどものアトリエ』
毎月第2・4日曜日10:00〜12:00(講師)/9:00〜18:00(部員自由活動)
部費:1,500円/回 / 990円/回(会場費こども無料)

■第三弾『演劇部』
毎月第1・3火曜日 10:00〜12:00(講師)/9:00〜18:00(部員自由活動)
部費:1,500円/回 / 990円/回(会場費こども無料)

問い合わせ先:080-5417-0909(フジイシモン)

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